コントラバスの松脂(まつやに)について

この記事は、中高の吹奏楽部でコントラバスをしている子や教えている顧問の先生にもぜひ読んでいただきたいと思っています。

コントラバスの松脂(英:ロジン)についてあらためて書いてみます。

小さな容器に入った松のヤニな訳ですが、これをあなどってはいけません。

コントラバス本体と弓があっても音はでません。
この小さな松脂がないと弓の毛は引っかからないんです!!
松脂を塗ってない毛はツルツルなんです。

そして松脂には色んな種類があるので、引っかかり具合や音色など弾き心地も変わってきます。

ちょっと初心にかえって松脂を見直してみましょう。

スポンサーリンク

大分類

大きく分けて「ハード(硬め)」と「ソフト(柔らかめ)」があります。

柔らかめ

松脂の柔らかめとは、夏になると常温でもグニャグニャに柔らかくなり、蓋を開けたら片寄っていたり、ベタベタでキャラメルみたいになる松脂です。

いわゆるベトベト系。

これは冬の寒い時期には硬くなって程よいべとつき感で塗りやすくなりますので「秋・冬・春」の寒い時期に主に使います。

夏場は冷蔵庫で保管しておきましょう。

代表的な松脂は、POPS(ポップス)、KOLSTEINのS(コルスタインのソフト)など

硬め

塗った時に白い粉がたくさん弦についたり指板についたりする松脂です。

ベトベト系に対してサラサラ系と言ったり。

冬にはさらに硬くなるので松脂が毛につきにくく寒い時期には不向きで、「春・夏・秋」の暑い時期に向いています。

代表的な松脂は、CARLSSON(カールソン)、NYMAN(ニーマン)、KOLSTEIN(コルスタインのオールウェザーとハード)など。

(※「いやいや、カールソンは柔らかめだろ!」
とおっしゃる方もいるかと思いますが、ここでは「二種類に大分類して夏に出番が来るもの=硬め」とさせていただきます。
中間もありなら、↑であげたコルスタインのハード以外は中間ですね。)

ちなみにバイオリンからチェロまでは硬めの松脂を使っています。
コントラバスは弦が太いので引っ掛かりやすいように柔らかめまであります。


アレルギーのある方には

意外と知られていませんが、松脂でアレルギー反応がでる方が稀にいらっしゃいます。
過去に2人ほど使ってる生徒さんに出会ったことがあります。

アレルギーのある方には、Super-Sensitive(スーパーセンシティブ)という天然松脂を使用していない松脂があります。

私は持っていませんが、ネットで調べたところ、これにも夏用と冬用とがあるようです。

楽器を触るたびに皮膚や目にかゆみがでたり、くしゃみや鼻水が出たり、アレルギー反応が出る場合には、こういう物に変えるといいと思います。


スポンサーリンク

ベストな使い方

冬用の柔らかめと夏用の硬めをそれぞれ1つずつ持っておくのがお勧めです!

それぞれ時季に応じて使い分けて欲しくて、

『最近涼しくなって松脂が粉っぽいな〜。ついてる感じがしないな〜。引っ掛かりが悪いなー』

ってなったらソフトに切り替えるタイミングです。

また、春や秋など中途半端な時期や、雨で湿気が多くて松脂ののりが悪い時は両方つけたりもします。

私は硬めを最初につけたあと柔らかめをちょっとだけつけたりします。
下地に硬めをつけてるイメージ。

そうすると引っかかりやすくなる上に結構長くもちます。

予算的に1個しか買えないという場合は、中間のミディアムを持っておくといいです。
大分類では固めに入れましたが、カールソン、ニーマン、コルスタインのオールウェザーです。

塗り方

まずはしっかり目に

ベーシストによって教え方が色々あるようですが、学生さんをみてると全然足りない、もしくは毛が古くダメになっていて沢山つけないといけない場合が多いので、「しっかり多めにつけましょう」と私は言っています。

松脂が足りないと、力を使って押さえつけて引っかけようとしてしまい疲れやすくなってしまいます。

弾くには腕の重さだけで十分です!

  1. 多めにつける
  2. つけすぎた感じをつかむ
  3. 拭き取ってベストなつき具合をつかむ

という経験を経て、ゆくゆくはいきなりベストなつき具合で塗れるようになりましょう。

塗り方

まず、松脂のまわりにアルミや紙が巻かれていると思うので、5mm〜1cmくらい出るまでぐるっとめくります。

角を毛に少し押し当てながら弓を引いてつけます。

松脂の付け方

ちゃんとついていれば角が削れてるのが見てわかると思います。

角はまんべんなく使うようにして溝ができてしまわないようにしましょう。

根元と弓先はちょっと多めにつけておくと、弾きはじめやアップで返す時に引っかかりやすくなります。

また塗る際は、写真のように親指と中指で壁を作ってあげると、塗ってる最中に毛から脱線してしまうことを防いで塗りやすくなります。

松脂の写真

ppで弾こうとしたら弦に毛が引っ付いて止まってしまった!という場合には塗りすぎです!

他にも音色がゴリゴリして粗い音になるので、そんな音色を望んでない場合にも塗りすぎです。

塗りすぎた場合は、全部の弦を位置をずらしながら弾いて、余分な松脂を弦にいっぱいつけてから拭きとるというのを数回繰り返します。

毛を直接拭かないように!
布の繊維やゴミが毛に付いてしまって引っかかりにくくなってしまいます。

他には綺麗な歯ブラシを用意して、それでクシみたいにとくという方法もあります。

扱い方の注意

溶かさない

上で書きましたが、ソフトの松脂は夏になると溶けやすいです。

そして溶けると質感が変わってしまう場合がありますので、暖かい季節になったら溶ける前に冷蔵庫に入れましょう。

乾燥させない

蓋は開けっぱなしにせず必ず閉めましょう。
乾燥すると表面が白くなって質が変わってしまい、塗っても塗ってもベトつかずサラサラな感じになってしまいます。
もしそうなったら、私はカッターで削ったりコンクリートなどに擦り付けて乾燥していない部分まで削ります。

また、よく落として割れて小さくなった破片を使ってる学生さんをみますが、ケースに入れておけば防げます。
もしケースに入れていても中に空間がある場合は落として割れてしまうこともあるので、スポンジを切って底に入れたりしてかさ増ししておくといいです。

私の場合

私はタンゴを主に演奏しているので、瞬発的な引っ掛かりとノイジーなジョリジョリ・ゴリゴリした感じを求めて柔らかめを好んで使っています。

ここ数年は夏はニーマン、冬はコルスタインのソフトを使っていてコルスタインがイマイチな時はポップスにします。
そして春や秋、雨の日は両方つけたりもします。

余談

・コルスタインは金色の箱の上に柔らかさが書いていて、

S=ソフト
A.W=オールウェザー
H=ハード

となっています。
買うときはよくチェックして買ってください。

・カールソンとニーマンは中身は一緒らしいです。

・同じ松脂でも微妙に質が違ったり、保存環境で質が変わってくるので、実際の弾き心地で良し悪しを判断しましょう。

・毎日必ずつける!というわけではなく、前日のがしっかり残っていたら『今日はつけなくていっか』って日もあります。

・持続力という観点もあります。
一日のうちに何回かつけ直したりすることがあります。
硬めほどもちが悪い、かな。

あとがき

初めての学校にレッスンでうかがうと「音量が大きくなった!」と先生によく言っていただけるのですが、それは単純に松脂をちゃんとつけたからというのが大きいです。
あと脱力の弾き方と。

私も高校生の時はそんなにこだわっていませんでしたが、ちゃんと松脂と向き合うと、

『今日はのりがイマイチやな』
『なんかめっちゃ粉っぽいなー、持続力もないし。乾燥させたかな?』

って感じで微妙な変化に気づいてきますので、いま一度、松脂と向き合ってみてはいかがでしょうか。

松脂は今回紹介したものは大体2千円前後で買えますし、専門のお店に行けばもっと色んな種類を置いています。

弾き心地の好みは人それぞれですので、ちょっとお金に(お小遣いに)余裕のある方は色々試してみるといいと思います!

タイトルとURLをコピーしました